海外赴任は、新しい環境での生活を始めるための大きなチャレンジですが、引っ越しの準備はその中でも重要なステップです。
新しい国や地域での生活は、現地の文化や習慣に順応することが必要ですが、まずは引っ越しのスケジュールをしっかりと立てることが大切です。
しかし、国内引っ越しとは異なり渡航先の国によって持ち込めないものがあったり、引っ越し赴任に関する必要書類や手続きも何から準備していいかお困りの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、海外赴任における引っ越しのスケジュールについて詳しく解説します。これから海外へ引っ越しする方の参考になればと思います。
引越し全体スケジュール
出国までには上の図のスケジュールで引っ越し準備が進んでいきます。
海外赴任に伴う引っ越しは、荷物の量や種類、引っ越し先の国によって手続きが異なるため、事前に引っ越し業者や荷物宅配業者に相談し、スケジュールを立てておくことが重要です。
最低でも3ヶ月前から動き出しをかけないと非常にタイトなスケジュールになりますので、ゆとりを持って海外へ出国して出来るように早くから準備を進め余裕をもったスケジュールを立てることをお勧めします。
1.引っ越し業者決定・・・約3ヶ月前
海外赴任に伴う引っ越しは、引っ越し業者に依頼することが一般的です。
まずは複数の業者を比較し、料金やサービス内容、引っ越し日程などを確認しましょう。業者を決定したら、荷物の量や仕分け方法、引っ越し日程などの詳細を確認します。
2.荷物の仕分け(船便)・・・約2ヶ月前
引っ越し業者が荷物を引き取りに来る前に、荷物の仕分け作業を行います。
船便で運ぶ荷物は、大型家具や季節外の衣類、不要品などをまとめて仕分けます。不要品は処分するか、リサイクルショップなどで売却することができます。
3.不要品の処分・・・1ヶ月前
海外赴任に伴う引っ越しは、荷物の量が多くなりがちです。
不要品を処分することで、引っ越し費用や手間を減らすことができます。処分方法は、捨てる・リサイクルする・寄付する・売却するなどがあります。
4.荷物の仕分け(航空便)・・・約2週間前
航空便で運ぶ荷物は、必要最低限の衣類や書類、パソコンなどの電子機器、貴重品などを仕分けます。
荷物の中には、到着までに必要なものがあるため、手荷物として持ち運ぶことができるものと、宅配便で送ることになるものに分けておくことが重要です。
5.荷物の準備(携行手荷物)・・・約1週間前
手荷物として持ち運ぶものは、必要最低限のものに絞り、移動中に必要な書類やパスポート、貴重品、着替え、スマートフォンなどをまとめます。
荷物宅配便で送るものは、必要なものをリストアップし、荷物宅配業者に手配します。
6.海外での荷物の受け取り・・・出発後
荷物宅配便は到着日時が指定されているため、受け取りの準備をします。
また、船便で運んだ荷物の受け取りには、到着日時に自分が居ない場合でも代理人を立てることができます。代理人を立てる場合は、事前に引っ越し業者や荷物宅配業者に連絡して手配しておく必要があります。
荷物が届いたら、すぐに確認を行い、破損や紛失がないかをチェックします。万が一、荷物に問題があった場合は、荷物宅配業者や引っ越し業者に連絡し、対応を依頼します。
引っ越し業者決定・打ち合わせ
海外渡航が決まったて、まずやることは引っ越し業者を決めること。
引越し業者の選定は、実際の渡航日の最低3か月前には決めておく必要があります。
3ヶ月よりも期間が短い場合はかなりタイトなスケジュールで準備が間に合わない可能性があります。
引越し業者の決め方・選び方
海外赴任が決まると、多くの会社は会社指定の引越し業者があるはずですので指定されている場合は任せておけば OK です。
ただし、引越し業者を会社から指定されず自分で決定しないといけない方もいるはずです。
海外への引越し業者は絶対に安さだけで選んではいけません。
・出発前、到着後のサポートがあるか
・引っ越し先の国の実績があるか
・電話が繋がらないことはないか
・きちんとスケジュールを提示してくれるか
などを基準に選びましょう。
国内の引っ越しでは安さを重視して多少失敗しても取り返しがつきますが、海外への引越しでは荷物が到着しなかったり途中で紛失したなど大きなトラブルに巻き込まれる可能性があるのでしっかり見極めて選択してください。
持っていけるもの・持っていけないもの
海外への引越しには
・日本から持っていけるもの
・日本から持っていけないもの
があります。
渡航先によって持っていけるもの持っていけないものが異なります。
国によって持ち込み禁止の項目が法律によって定められていますのでしっかりと確認をしましょう。
海外への引っ越し業者はプロですので質問すると必ず教えてくれたり、持っていけるものと持っていけないものをまとめたリストを提供してくれます。
荷物の確認・打ち合わせ(下見)
海外赴任の引越し業者の下見は、引越しの準備において非常に重要な段階です。
この下見によって、
・引越しの荷物の量や配送方法
・荷物の保管場所
・引越しのスケジュール
などの詳細な情報を確認することができます。
通常、引越し業者の下見は、引越しの予定日の2〜3か月前に行われます。
下見の時間は、引越しの規模や輸送ルート、引越し元と引越し先の距離などによって異なりますが、数時間から半日程度を見ておくことが一般的です。
(ちなみに私がベルギーに行く際の引越し業者との打ち合わせ時間は2.5時間でした。荷物の確認自体は一時間程度で終わりましたが業者の担当者からの説明を受けたり質問したりで時間が掛かります。)
引越し業者の下見には、複数の業者を比較することで、サービス内容や料金などを確認することができます。
そのため、下見の前に複数の業者に見積もりを依頼し、比較することをお勧めします。
引越しの下見には、十分な時間を確保することが重要です。
下見の前には、荷物の整理や不要なものの処分など、必要な準備「仕分け」を行っておくことが重要です。
荷物の仕分け
海外赴任における引っ越し荷物の仕分けは、荷物の性質や到着時期、保管場所などを考慮して行う必要があります。
船便や航空便、トランクルーム、実家に持っていく、持参物などをうまく活用し、スムーズな引っ越しを実現しましょう。
また、荷物の梱包や運搬についても、十分な注意を払い、荷物を安全に到着させるようにしましょう。
船便
海外赴任の荷物準備において、船便とは、貨物を船で運ぶ国際輸送のことを指します。船便を利用することで、航空便と比べて費用を抑えることができ、大量の荷物や大型の荷物を送ることができます。(家具や家電製品、本や衣服などは、船便で送ることが一般的です。)
船便で荷物を送る場合は、事前に発送元と発送先の国の税関手続きが必要になるため、時間に余裕を持って手続きを進めることが重要です。
また、船便は到着までに時間がかかる(ヨーロッパだと3ヶ月以上掛かることもある)ため、必要なものは持ち運ぶか、航空便で送るようにしましょう。
<船便発送の流れ>
1.荷物の準備
まず、送る荷物を準備します。海外赴任に必要な荷物や生活に必要な荷物、大型の家具や家電製品など、不要なものや処分しなければならないものを選別し、梱包します。荷物の梱包は、衝撃や振動に耐えられるように丁寧に行う必要があります。
2.荷物の集荷
荷物を梱包したら、船便を扱っている運送会社などに荷物を集荷してもらいます。
集荷日や集荷場所は、事前に運送会社などと調整しておく必要があります。
3.船便の手続き
荷物を集荷した後は、船便の手続きを行います。
手続き内容には、荷物の種類や量、発送元・送付先の情報などが含まれます。また、船便の運賃や保険料なども手続きの対象となります。
4.船便の発送
手続きが完了したら、荷物を船便で送ります。
船便の場合、船の出港日や到着予定日などがあらかじめ決まっており、それに合わせて荷物を発送します。
5.荷物の到着と受取り
船便によって荷物が到着したら、送付先の国の税関や入国管理局で手続きを行い、荷物を受け取ります。
税関や入国管理局の手続きには、必要な書類や手数料などがあるため、事前に確認しておく必要があります。
船便の運送期間が長いため、荷物が破損するなどのトラブルが起こる可能性があります。そのため、荷物を梱包する際には、衝撃や振動に耐えるような丈夫な梱包材を使い、十分な保護を行う必要があります。さらに、荷物には保険をかけることも考慮しておくと安心です。
(お金はかかりますが引っ越し業者によって、引越しの荷物だけ渡せば梱包から発送まですべてやってもらえるプランもあります。海外赴任前の大事な時期ですのであまりケチらずに業者にお任せすることをお勧めします。)
航空便
海外赴任の荷物準備において、航空便は荷物を空輸で送る方法です。
航空便を利用する場合、荷物は出発地の空港から目的地の空港まで、比較的短時間で運ばれます。(約2週間)
基本的な荷物の準備の流れは船便と同じですが、航空便で送る場合は、主に貴重品や大切な書類、洋服や小型の家電製品など、手荷物として持ち運ぶことが困難なものを送ることができます。
ただし、機内持ち込みができる重量やサイズに制限があるため、大型の荷物や重い荷物は船便で送ることが適しています。
航空便は、荷物を迅速かつ安全に目的地に届けることができる利点がありますが、航空便は船便に比べて運送料金が高い場合があります。
また、航空便は運送可能な荷物の重量やサイズに制限があるため、多くの荷物を送る場合には船便を検討する必要があります。
携行手荷物
赴任先で必要なものや、持ち運びが可能な貴重品や重要書類などは、持参することが一般的です。
持参する荷物は、手荷物として持ち運びが可能なものが望ましいです。
手荷物として持ち運ぶことができるものは、重要な荷物や貴重品を紛失したり、破損したりするリスクが少なくなります。
また、引っ越し先で生活を始める前に、必要なものを手元に置いておくことができるため、手荷物は重要なものを中心に選ぶようにしましょう。
<手荷物として持っていくものリスト>
1.パスポート、ビザ、航空券、保険証、重要書類などの必要な書類
2.電子機器(スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、カメラなど)とそれらに必要な充電器やアダプター
3.旅行用のアダプター(現地のコンセントに合わせたもの)
4.必要な薬、処方箋、健康診断書、医療保険証
5.現金やクレジットカード、トラベラーズチェックなどの財布
6.外貨両替や海外用のキャッシュカード
7.重要な連絡先のメモやスケジュール帳、住所録など
8.軽量な衣服や下着、シャンプーや歯磨き粉などのトラベルサイズのトイレタリー用品
9.必要な場合に備えた、携帯用の食料品、水、シートマスク、ハンドジェル、ティッシュなどの消耗品
10.携帯用のトラベルバッグやバックパック、カギや鍵のセット
不要品の処分と残置荷物
現地に送らない荷物は残置荷物(国内においていく荷物)不用品として処分するものに分けます。
・残置荷物は親戚や知人に預けるあるいはトランクルーム等を利用して保管する。
・不用品は親戚や知人にするか民間の買取サービスなどを利用しましょう。
引っ越し業者では不用品の処分は受け付けない場合が多いので事前に処分するものは確認しましょう。
トランクルーム
海外赴任の荷物の準備において、トランクルームは便利なオプションの一つです。トランクルームとは、自分の荷物を保管するための倉庫のことで、定期的な支払いによって使用することができます。
トランクルームを利用するメリットは以下の通りです。
1.スペースの確保
トランクルームを利用することで、荷物を一時的に保管することができます。特に、海外赴任に伴う引越しの際には、一時的に荷物を保管する必要がある場合があります。トランクルームを利用することで、引越し先でのスペース確保にも役立ちます。
2.荷物の保護
トランクルームは、荷物を保護するためのセキュリティシステムを備えています。
多くの場合、監視カメラ、防犯システム、保険などが提供されており、荷物が安全に保管されます。
3.便利なアクセス
多くのトランクルームには、24時間利用可能なアクセス方法があります。
荷物が必要になった場合にすばやく取り出すことができるため、便利です。
<注意点>
トランクルームを利用する際には、以下の点に注意する必要があります。
1.料金
トランクルームを利用する場合、利用期間や保管する荷物の量によって料金が異なるため、事前に確認しておく必要があります。
2.保険
トランクルームによっては、保険が提供されていない場合があります。荷物を保管する前に、保険の有無を確認することをお勧めします。
3.荷物の整理
トランクルームに荷物を保管する際には、整理整頓を心がけることが重要です。荷物が乱雑になると、必要なものを見つけることが難しくなります。
以上の点に注意しながら、トランクルームを利用することで、海外赴任に伴う荷物の保管に役立てることができます。
フリマアプリで出品する
海外赴任の荷物処分にフリマアプリを利用する場合、まず、フリマアプリをスマートフォンにダウンロードしてアプリ上で出品します。手間はかかりますが出品することで、不要なものを手軽に処分できるだけでなく、収益化も可能です。
また、購入者にとっても、中古品をお得に購入することができるため、双方にとってメリットがある方法です。
代表的なフリマアプリとしては「メルカリ」「ラクマ」「ヤフオク!」などがあります。
<簡単な流れ>
1.出品登録
不要な荷物を出品するためには、まずアプリ内で出品登録を行います。出品する商品の写真や説明、価格などを入力して、出品情報を登録します。ここで、出品価格は、購入時の価格から相場や商品状態を考慮して設定します。
2.取引成立
出品した商品に対して、購入希望者が現れると、取引が成立します。取引が成立した場合、アプリ内でやりとりを行い、配送方法や支払い方法などを確定します。
3.発送手続き
取引成立後は、出品者は商品を発送するための手続きを行います。発送方法には、ゆうパックやクロネコヤマトなどの宅配便や、ゆうメールなどの郵便があります。
4.商品到着
購入者が商品を受け取り、商品の状態が問題なければ、取引は完了します。このとき、出品者が設定した価格から手数料が引かれた金額が、出品者の口座に振り込まれます。
実家に持っていく
引っ越し前に、実家に一時的に荷物を持っていくこともできます。
実家に持っていく荷物は、引っ越し先で使わないものや、一時的に使わないものなどがあります。
実家に預けておけば、引っ越し先でスムーズに生活を始めることができます。
まとめ
海外赴任の引っ越しは、多くの準備と手続きが必要ですが、しっかりと計画を立てれば、スムーズに移動することができます。
この記事では、引っ越しのスケジュールについて詳しく解説しました。まずは、引っ越しの日程を決め、必要な手続きや荷物の整理を行い、船便や航空便で荷物を送ります。そして、到着後の入国手続きや新しい生活に必要な手続きを進め、新しい環境での生活を始めます。
海外赴任は、新しい文化や習慣、言語などに慣れることが必要ですが、家族や友人のサポートや現地の人々との交流など、多くの素晴らしい経験が待っています。
ぜひ、引っ越しの準備に取り掛かり、新しい環境での生活を楽しんでください。